1.研究の動機と目的
 美術館で個性的な画風の絵を見た時「これは何の絵だろう」と思ったことはないだろうか。「作品名」を見ると、だいたいの想像ができるものもあるが、作品が抽象的であったり、独創的であったりすればするほど一目見ただけでは「何についての絵」であるかの判断は難しい。それは子どもの絵についても同様である。子どもが作品を描くにあたって「最初に何を描いたのか」「どのようなことを考えて描いたのか」「描画過程において何について悩んだのか」など、目に見えないところを知るのは困難なことである。子どもの絵にも、絵の表層構造からでは分からない様々な思いや描画行為が隠されているのではないだろうか。このような疑問を明らかにするため子どもの絵に焦点を当て、描き終えた後ではなく描画過程に着目した研究を進めることにした。

2.論文の構成
はじめに
第1章 児童画研究の歴史的変遷と描画履歴への着目
 第1節 児童画研究の歴史的変遷
  1.児童美術の発見と児童画研究の先駆者
  2.児童画研究運動と児童画研究の興隆
  3.初期児童画研究の特徴
  4.発達的アプローチ
  5.臨床−投影的アプローチ
  6.芸術的アプローチ
  7.プロセス・アプローチ
 第2節 プロセス・アプローチの描画過程に関する成果
 1. 描き順について
 2. プランニング(立案)
第2章 子どもの描画過程に関する調査
 第1節 調査氓フ設計
 第2節 調査氓フ結果と考察
第3章 描画履歴を用いる研究の可能性について
 第1節 調査の概要
 第2節 調査の結果と考察
おわりに

 

 

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